ひと昔前とくらべると、埋葬や葬儀、墓参の仕方や意義が多様化し、それに伴って、お墓のデザインもバリエーションが豊かになってきました。従来は、家の先祖を供養する、いわゆる「家墓」がほとんどでしたが、一組の夫婦を祀る「夫婦墓」、故人その人に焦点を合わせた「個人墓」といった、新しいスタイルも広く受け入れられてきております。
また、墓地の位置づけも徐々に変化してきました。「死者が眠る隔離された場所」から、「生者と死者をつなぐ語らい、コミュニケーションの場」として、あらためて認識されつつあります。そのため、亡くなった方をより鮮明に思い出されるよう、なにかしらその人らしさが表現された、デザイン性の高いお墓が求められるようになってきました。墓地自体も、市民が日常的に憩い、散策できるような「公園」としての機能を担うようになり、お墓のデザインがその景観にふさわしいものであることも重要視されています。
このように、故人の「表現」としてのお墓のありかたが定着してまいりました。亡くなった方の人柄や生い立ちをどのようにカタチにするのか、また、自らの死後、お墓を通じて何をあらわしていきたいか、「死」の一つ一つに対して、より深く「生」を振り返る時代なのかもしれません。
私ども㈲川越石材店は、多様化するニーズにお応えするため、豊富な墓石デザインをご用意するとともに、あらゆる選択肢の中から最適なお墓をお選びいただけるよう、全力でサポートいたします。
お墓に対する考え方は、決して一様ではありません。一般的には、お墓とは亡き人を葬り弔う碑ではありますが、現在では、「死後の住まい」、「この世に生きてきた証し」、「家族の絆の象徴」といった意味合いが強調される傾向にあります。お墓づくりの際には、どのような意味合いに重きをおくかをまず考え、それにふさわしい形式を定められるとよいでしょう。
- 家墓(家族墓)
- 一家・一族の先祖代々からの遺骨を一緒に収めたお墓です。明治以降、火葬の普及とともに急速に広まり、現在にいたるまでもっとも一般的な形式として定着しています。墓石の正面には「…家之墓」「…家代々之墓」と刻まれ、裏面や側面、または墓誌などに、合祀された方々が列記されます。
- 個人墓
- 故人その人をお祀りするお墓です。太古から、権力者や偉人の業績をたたえるために用いられてきた形式ですが、現在ではむしろ、その人の個性を後世に伝え残すような、例えば、楽譜や楽器をあしらった音楽家のお墓、生前の口癖を刻んだお墓、白バイにまたがる姿をかたどった、殉職された警官のためのお墓、というような、自由なデザインのものも広く受け入れられています。
家墓と違い、代々受け継がれていくという性質のものではないので、お墓を建立したあとの管理については、よくよく取り決めておく必要があります。 - 夫婦墓
- 夫婦二人だけのお墓です。家墓を継ぐ立場でなく、子供もいないなどの場合に建てられますが、最近では、「夫婦水入らずであの世で過ごせるように」と、積極的な意味で、あえて夫婦墓を選択するケースが増えてきているようです。
- 両家墓
- 夫婦それぞれの実家など、二つの家を祀ったお墓です。長子同士や一人娘の結婚によって、お墓を継ぐ者がいなくなる場合に建てられることがあります。
お墓の歴史はたいへん古く、わが国においても、いまから四、五千年前の縄文時代後期には、その萌芽が見受けられます。以後、風習や宗教はもちろん、さまざまな文化・技術・意匠を取り込みながら、現在にいたるまで綿々と受け継がれ発展してきました。そのような積み重ねの上に成立してきた「お墓のデザインのスタンダード」を尊重しつつ、上に挙げたお墓の多様化とともに、個性的なデザインのお墓も増えつつあります。
- 和型墓石
- その名の通り日本で発展してきたデザインで、仏舎利塔を模して、江戸時代の中ごろより普及し始めたとされています。四角柱の墓石を、三段または四段に積み上げたもので、竿石(棹石、仏石、寿石)と呼ばれる最上段の石に、家名などを刻みます。
- 洋型墓石
- 西洋風のお墓を参考に、日本で発展してきたデザインをいいます。台石の上に斜めにカットされた竿石がのった「オルガン型」、竿石を垂直にカットした「ストレート型」、平たい墓石を横にして芝生に埋め込んだ「プレート型」に大別されます。
家名の代わりに好きな文字や言葉を入れたり、レリーフを施したりしても違和感がなく、汎用性の高いデザインとして、近年の主流となりつつあります。和型墓石と較べて、重心が低く耐震性が高いのも、人気の理由のようです。 - ニューデザイン墓石/オリジナル墓石
- 和型、洋型といった既存のデザインを受け継ぎつつも、新しい要素を取り入れたものをニューデザイン墓石、枠にとらわれず、根本から自由な発想でデザインされたものをオリジナル墓石と呼んでいます。どちらも、一度きりの人生を歩んだからこそ、世界に一つだけのお墓にしたい、という、自然な感情を形にしたものといえるでしょう。今後もっとも注目されるスタイルです。